ニッポンの男たち ミュリエル・ジョリヴェ 

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副題にフランス女性が聞いたホンネの話とあります。筆者は上智大学で東洋学を教えている女性です。
この本のおもしろさは、筆者が直接インタビューして、さまざまな経歴の男性から、会社、夫婦、父親、性などの話を聞いた点にあります。
とくに興味深かったのは、出社拒否をした人や、家事育児に専念するため会社を辞めた人、さらにはオウム真理教に入った息子を取り返した父親、ホモであることを告白した人、昼は高校教師として働き、時に女装することで、精神の平衡を保つ人、さらに満州引き上げ孤児の身の上でありながら、独学で文字を習得した人など、さまざまな人が登場することです。
本当に人生というのは、複雑なものだとしみじみ感じました。働くということはどういう意味を持つのか、子育てとは、あるいは生きていくことそのものの意味とは何かということをあらためて考えさせられました。
後半に登場する夜間中学に行っている人は「字が読めないのは酸素がないに等しい。字が書けない人間はポケットにナイフをしのばせて生きていくしかない」と述懐します。
そして警察でなぐられ、放り出された時、煮込みうどんをたべさせてくれた屑屋のおじいさんのことを語ります。この屑屋さんを見た時、はじめて地上に光を感じたという話には、不思議な感動をしました。
男性の生きにくい社会です。リストラの嵐はまだ続いています。どうしたらこの国で、本当に人間らしく生きていけるのでしょうか。
最後には『病院で死ぬこと』を書いた山崎章郎医師も登場します。かれはホスピスの医者として、長い間死んでいく人間を見てきました。医者のいいなりになって治療されていく患者の姿をみるのはしのびないとこの本を書いたそうですが、状況は少しも変化がないといいます。
自分の意志で死ぬこともままならないこの国の人々。
さまざまなインタビューの中で、何度も立ち止まって考えざるを得ま

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