抵抗論 辺見庸 

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衆議院選挙が終わりました。国家とは何か、あらためて考えるいい機会ともなりました。
辺見庸の本は芥川賞をとった『自動起床装置』以来です。なんとなく国家とは何かということを自分なりに問い直してみたかったのです。著者は芥川賞を受賞してしばらく後、共同通信を辞めました。それは自分という存在と、社会の中で記者として存在するものとの乖離に悩まされたからだと述べています。
今、ある意味でかなりラジカルな作家であることは疑いを持つまでもありません。というか、彼は昔のスタンスのままなのかもしれません。基準が微妙に動いているといった方が正確なのでしょうか。
ここでは国家とは何かということが述べられています。
一つは監獄や死刑を持つ装置、一つは叙勲を行う装置。アメと鞭と言ってもいいかもしれません。しかしそれだけでは不十分だとも主張しています。なにもかもをヌエ的に縫合しつつ、破綻をみせないシステム。全てのものをその内部で咀嚼し自己増殖していくのが国家なのではないかとも呟いています。
どのようにして国家というものに抵抗していけばいいのか。自由や文明というまろやかな表現の背後にある毒をどう見破ればいいのか。
そのための処方箋を必死になって考えようとしたのが、この本です。苦しい思考の過程が、そのまま示されていると言えるのではないでしょうか。
抵抗し続けることの難しさを実感しました。

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