NHK新人演芸大賞

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落語
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昨日の落語部門、大賞は桂宮治さんが獲得しました。
まだ二つ目になって1年。平成20年の入門です。
ぼくも一度だけ、前座の時に飲み会に参加し、お話したことがあります。
あの頃、もう奥さんや子供さんがいて、はやく二つ目になりたいと呟いておりました。

さて昨日の「元犬」。古今亭のものとは違い、上総屋の旦那に自分は犬だと告白し、それを旦那も受け入れるという展開。
これも面白いなと感じた次第です。
彼の持ち味は緩急のリズムですかね。
それと天性の明るさ。ニコニコ微笑みながら高座に上がってくるだけで、観客はいい心持ちになります。
桃太郎師匠もブログで書いてましたけど、芸協はユニークな逸材を得ました。
しかしこれを伸ばすことができるのかどうか。それだけの態勢をもってますかね。
一時の一之輔の勢いを彷彿とさせます。しかし彼よりはかなり弱気です。不安が垣間見える。
それがまた別の魅力なのかもしれません。

早いとこ彼を真打にできるような協会ならばとは思いますが、さてお手並み拝見だ。
昨日、「たがや」で本寸法の落語を聞かせてくれた春風亭昇吉も面白い。
しかし彼はこれからどこへ向かっていけばいいのか。
芸人の行き着く先は誰にも見えません。
それはぴっかりさんも同じこと。女性が噺をすることの難しさを彼女も心底感じているんじゃないでしょうか。

ところで、五代目柳家小さんの芸語録を小りん師匠への聞き書きからまとめて上梓した石井徹也のブログに面白い記事が載っていました。
そのまま掲載しておきます。
宮治さんの落語を随分と褒めてます。

『宿屋の仇討』

伸治師譲りで、呆れるくらい出来上がっている。
噺に変な隙間が空かず、市馬師や白酒師でも苦心しているこの噺を見事に演じきったのには驚いた。
真打芸である。
萬事世話九郎の「いはち~」の大きな声だけで、これだけ可笑しい人は初めてではあるまいか。
姿勢も立派だし、貫禄のある世話九郎で最後に「座興だ」と言ってからも平然と笑っている存在感が素晴らしく、言葉つきの厳めしさなど細部の注文はあっても文句はない。
江戸っ子三人もちゃんとキャラクターを描き分けている。中でも源兵衛が色事話をする声がちゃんと「一寸怖い話」になっているし、伊八の前で気取ると中尾彬みたいな声に変わるのがまた可笑しい。
喜六のボケた可愛さ、清八のキッパリした「助太刀をしない!」もステキに面白い。
伊八がまた喜怒哀楽吃驚困惑の見事に出来ているキャラクターで、客商売らしい腰の低さ、世話九郎の言葉に驚く表情と声、源兵衛に「明朝、宿外れで出会い仇という事で」と報告する件の必死な冷静さ。
「座興だ」と言われての怒りと遠慮の入り交じったリアクションと、端睨すべからざる落語芸を見せた。二ツ目になった途端、東京落語界の二ツ目トップクラスに躍り出た印象。
一之輔師匠より速い年数で抜擢されてもおかしくない。

 ぼくもこの噺はやりますが、3人のキャラクターを明確に分けるのはなかなかに難しいのです。
一度聞いてみたいな。

彼の持ち味は何か。これからの高座でますます証明されていくんではないでしょうか。
芸の世界の厳しさを昨日はしみじみと味わいました。
久しぶりに落語のたのしさを堪能することができました。

ちなみに大阪から来た二人、二乗と喬若はもう出来上がっています。
キャリアは10年目までに縮めた方がいいな。関西は二つ目、真打がないだけにNHKに再考を促したいものです。

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