浜野矩随

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落語
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TBSの落語研究会は本当にありがたい番組です。
特にBSでは毎回数本のすばらしい高座をそのまま放送してくれます。
元々、由緒のある研究会で、芸人にとってはここに出ることが一つのステータスになっているのです。
毎回、早朝3時からの2時間枠というあたりも、この放送の味わいといえるでしょうか。

ぼくはこの放送を必ずビデオに録り、さらにパソコンで縮小し自分の貴重なライブラリーにしています。
昨夜は古今亭菊丸の「浜野矩随」が出色でした。
これをきちんと「はまののりゆき」と読める人はかなり落語好きだといえます。
講談から落語にした噺は他にも「柳田格之進」などいくつもありますが、この作品も独自の風格にみちています。

「腰元彫り」という刀剣の付属品を彫刻する彫金の名人浜野矩安の子、浜野矩随が自分の技術の未熟さを指摘され、そのために一度は死のうと決心します。
しかし母に忠告されて、観世音菩薩を7日間不眠不休で彫り上げ、世に認められるという、名人伝の形をとっています。
左甚五郎ものにある一種ゆったりとした雰囲気に彩られた噺ではありません。
もっと切迫した厳しさを感じる噺です。

完成したその日、母は息子にそれと知らせず、水盃でおくり出します。
この部分の演出は噺家それぞれで、普通は慌てて家に戻ると既に母が自害していたというものの方が多いようです。
今回の菊丸のはそうではなく、最後は命が助かり、名声もあがるという大団円を迎えるものでした。
どちらがいいのかは、人によるでしょう。
先代の圓楽はこの噺をよくしましたが、柄が大きく、菊丸の端正なつくりとは正反対でした。

余計な動きを入れず、無駄な話にそれることのない、それでいて味わい深いいい出来だったと思います。
菊丸といえば、愛宕山などに代表されるような幇間ものなどをすぐに連想しますが、長い間の精進が実を結ぶ時を迎えているのでしょう。
相撲観戦も好きらしく、両国で開かれる場所の時には、必ずテレビでその姿を拝見します。
師匠圓菊が亡くなった今、文字通り、一門を支える大黒柱の一人です。

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