立川流騒動記

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落語
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また立川流の本か、というのが正直な感想です。
それでもつい手にとって読んでしまいます。
結論からいえば、面白かった。
特に最終章は一番読み応えがありました。

談之助の落語というのを聞いたことがありません。
YOUTUBEに一席だけ、「目薬」がアップされてました。
時計をはめてるのを見て、思わずギャフンとしましたけど…。

談志が死んだ直後に書かれた本です

 内容は参議院議員になって秘書になった頃の話。
明治大学の落研時代の話。
先輩に三宅裕司、同輩に立川志の輔、後輩に渡辺正行、立川談幸。
なんでこんなにどんどん人が出てくるサークルなのか、よくわかりません。

さて談志の人となりは色々な人の書いたものに譲るとして、結局お山の大将になったことで、落語は尻すぼみになったと断言しています。
そこがすごく面白かった。
志ん朝と協会内で芸を競い合っていれば、こんな風にはならなかった。
弟子も育てた訳ではない。特別に稽古をしたこともない。
みんな勝手に大きくなっただけだから、今後立川流は自然に崩壊していくだろうと予言しています。

なにより目が冷静です。
それがこの本の面白さにつながってます。
またここには落語協会脱退騒動のあたりの話がかなり詳しく書き込んであります。
原因の根本は正蔵と圓生の確執だというのが、彼の見立てです。
そこに人のいい小さんがのったということのようです。

さらにプロとアマの芸の質に元々それほどの差はないとも述べています。
その理由としては…。
近年の客の変質により、かつてのように深みのある口承芸を要求しなくなっている。
上納金という名目で金銭をとり、前座を経ずに真打ちになるというコースをつくってしまったことで、前座の修行が意味をもたなくなった。

これは今までに誰も書かなかった論点です。異論があるかもしれません。
真打の師匠に弟子入りしなければ、プロになれないというハードルを談志は上納金という近代のシステムで壊してしまいました。
立川流は寄席を知りません。
それでも落語はやれるということでしょう。
極論すれば、前座などいらない…。
師匠への入門すらいらないのです。

最後は談志への敬愛でまとめられています。
快楽亭ブラックの本とはそこが根本的に違うところです。
急いで作ったのでしょう。
あちこちに誤植がありました。
これもシャレなのかなあ。

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