ジャコメッティとともに

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6月14日から国立新美術館でジャコメッテイ展が始まりました。
これは開館10周年を記念した展覧会だそうです。
この芸術家の横顔を表している作品は矢内原伊作の『ジャコメッティとともに』につきると思います。
ぼくがこの本に出会ったのは実に35年ほど前のこと。
こんなにすごい本があるのかというのが、その時の率直な感想です。
たまたま書きとどめたものがありました。
そのまま載せさせてください。

ジャコメッティは20世紀を代表する彫刻家です。
あの細い独特の造形を一度見たら、忘れることはありません。
パリのアトリエを訪れた矢内原は、そこでこれから起こることを全く予感できませんでした。それほど出会いは衝撃的だったのです。
一枚の肖像画を描いてもらうために、矢内原は毎日彼のアトリエを訪れます。
しかし絵は完成しません。
真摯に対象と向き合う芸術家は、何度もキャンバスを白く塗りつぶしてしまうのです。
しまいには彼の妻と懇ろになる矢内原。
しかし芸術家はそのことに腹をたてることもなく、むしろ喜びさえします。
この本はぼくにとってとても大切なものです。
しかし筑摩書房はなぜか再版をしていません。
現在は絶版です。

展覧会に出かける前に、再読していくつもりです。
サルトルやジュネなど、当時活躍した人々がたくさん登場します。
何もないアトリエに通い続けた矢内原は、想像もできないほど豊かな知の旅をしました。
それが全てこの本に凝縮されています。

対象をみつめれば見つめるほど、だんだん細くなり小さくなっていく。
ジャコメッテイは常にそう言い続けました。
その作品群に出会えるのもそう遠いことではありません。
読み終わったら行こうと決めています。
その時、何を感じるのか。
それが今からとても楽しみです。

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