昨日からずっとこの本を読んでました。
実に興味深いテーマです。
社会心理学の分野に属するものです。
要約すると、人間はどのような行動をとる生物なのかというのが主題です。
人の態度や行動を変化させる心理的な力とは何か。
心の中をここまで深く読み取られてしまうと、正直つらいものがあります。
ものを売る人は人間の深層心理に訴えます。
人にものを頼むときにはどうすればうまくいくのか。
社会心理学者の術中にはまれば赤ん坊の手をひねるようなものです。
例えば、どうしても頼みたいことがある場合には、まず途方もないことからお願いをする。
当然のように相手は拒否します。
そこで条件をさげ、譲歩する。
するとなぜか容易に承諾してくれるものなのです。
あるいはどんなものでもよい。
先にささやかなプレゼントをする。
すると相手に精神的なプレッシャーを与えることに成功する。
必ず何かをこの人のためにしてあげなくてはという精神状態になります。
人は一貫性を重んじようとするあまり、自分で一度決めたことや書いたことの線にそって行動しようとします。
さらに自分と同じような姿形の人間に自然と好意をよせる。
権威に弱く、希少性を尊ぶ。
数量の限定に弱い。
商売人はあらゆる手段でこれらの方法を使いこなし、ものを買わせようとするのです。
足りなければ笑いを合成し、そのテープを番組で流す。
今でもテレビ局はよくこの方法を使っています。
通販の番組に登場するタレントや視聴者などもさしずめその変形でしょう。
大部ですが、具体例がたくさん載っていて飽きさせません。
翻訳がすぐれているので、大変に読みやすいです。
ウォーターゲート事件、ガイアナの人民寺院事件の裏側。
クリスマスシーズンが終わった後までおもちゃを買わせるための方法…。
煙草をやめさせる簡単なテクニック。
一読をお勧めします。
ロバート・B・チャルディーニ著。