詩人大岡信が亡くなりました。
長い付き合いだった谷川俊太郎が昨日、朝日新聞に追悼の詩を載せました。
ここに再録しておきます。
本当はヒトの言葉で君を送りたくない
砂浜に寄せては返す波音で
風にそよぐ木々の葉音で
君を送りたい
声と文字に別れを告げて
君はあっさりと意味を後にした
朝露と腐葉土と星々と月の
ヒトの言葉よりも豊かな無言
今朝のこの青空の下で君を送ろう
散り初める桜の花びらとともに
褪せない少女の記憶とともに
君を春の寝床に誘うものに
その名を知らずに
安んじて君を託そう