詩人立原道造の詩を元にして、木下牧子が曲をつけました。
高校の音楽の教科書にも載っています。
立原道造といえば、軽井沢追分の風景がすぐ目に浮かびます。
結核の病に倒れ、24歳で早世しました。
夢みたものは ひとつの幸福
ねがったものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しずかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある
夏の情景が目に浮かびます。
静かで平和な村の日曜日。
そこにある幸福。
それ以外に何が必要なのかと詩人は問います。
日傘をさした娘たちの踊りと鳥の声。
それらはすべてここにあると彼は断言しました。
この詩を読んでいると「小国寡民」という言葉を思い出します。
本当に人が幸せになれるのは小さな国とわずかな数の人々がいれば十分だという意味です。
老子が理想とした国家の姿だと言われています。
立原は身体を悪くしたものの、恋をしていました。
献身的な彼女の支えもむなしく、不帰の人となったのです。
最後のフレーズに、願った幸福はすべてここにあるとも書き込んでいます。
木下牧子のやわらかな曲が耳に心地よいのです。
女声も男声も混声も、どれもすばらしいです。
聞いていると、知らずに心が澄んでいきます。
まさに名曲といわれる所以でしょうか。