Book 愉楽の園 宮本輝 同じ筆者の本を続けて読むのは久しぶりです。なんとなく手に取っていました。読後感は不思議な味わいといったらいいのでしょうか。舞台はタイの首都バンコクです。今までタイを舞台にした本は、三島由紀夫の作品『暁の寺』だけしか読んでいません。そういう... 2004.12.30 Book
Book 無名 沢木耕太郎 前から読みたいと思っていた本でした。今、読み終わって心の中があたたかいのを感じます。父と子の愛情というのはこういうものなのかなあとしみじみ考えました。特に男親と男の子の関係がみごとに描かれています。筆者の文章はいつも的確で無駄がありません... 2004.12.20 Book
Book ヴェネツィア私のシンデレラ物語 チェスキーナ洋子 世の中にはこんなこともあるのだなあとしみじみ感じさせてくれる本でした。タイトルの通り、まさにシンデレラ物語です。芸大を出たばかりの女性が、ハープの勉強をしたいという一心で、イタリアへ留学します。当時はまだイタリア政府の給費留学生になるくら... 2004.12.18 Book
Book フィレンツェの高校生 山下史路 著者の本は以前にも読んだことがあります。お子さんがふとしたことで、イタリアへの留学を決意した経緯などから書き出されています。英語圏とは違って、留学援助団体なども少なく、とても苦労したようです。結局、息子さんと2年間、フィレンツェに住んでし... 2004.12.14 Book
Book 破線のマリス 野沢尚 テレビ朝日のニュースステーションのイメージが随所にでてきます。著者は現役のシナリオライターです。この作品で第43回江戸川乱歩賞を受賞しました。報道局のニュース番組で映像編集を担う女性が主人公です。以前に比べてニュースもスピードが要求されてい... 2004.12.07 Book
Book 花の降る午後 宮本輝 宮本輝はやはりストーリーテラーだなとしみじみ思います。ぼくが好きなのはなんといっても『泥の河』です。この作品の持つ哀しみは、ほかにはないものだと思います。さて随分昔に書かれた作品を今回手にしたのも偶然のことでした。舞台は神戸。そこへ若い女主... 2004.12.02 Book
Book アフターダーク 村上春樹 たった一日の夜から明け方までに都会では何が起こっているのでしょうか。それを寓話的に描いたのがこの作品です。幾つかの構成部分からできています。しかし眠り続ける姉のシナリオは理解できませんでした。最新作のわりには、あまり彼の深さを感じられないま... 2004.11.27 Book
Book 変容 伊藤整 岩波書店 大学時代、この作家を集中的に読んだ時期があります。小林秀雄と、伊藤整のゼミをとったからです。『発掘』『氾濫』『変容』は彼の後期を代表する三部作です。その他に『年々の花』という作品があります。この作家のものはほぼ10年おきに読み返しています。... 2004.11.17 Book
Book 源氏物語の世界 日向一雅 この本は、源氏物語の入門書として最適な本です。岩波新書の中では秋山虔さんの本が長い間、親しまれていましたが、今後はこの本がその地位を占めるものと思われます。筆者は今年教育実習で来た生徒の主任教官で、本当ならば研究授業の時、見えるはずでした... 2004.10.05 Book
Book 野中広務 差別と権力 魚住昭 以前から読みたいと思っていた本です。朝日新聞の書評に取り上げられた時、これだと感じました。それは野中広務という政治家が部落民という偏見と差別の最も強い階級からのし上がってきた人だという事実を元にして書かれていたからです。京都府船井郡園部町... 2004.09.19 Book
Book こころ熱く無骨でうざったい中国 麻生晴一郎 実に面白い本でした。読んでいる最中、思わず、そうだその通りだと手を叩いている自分がいました。著者は学生時代から中国へ何度もでかけ、非合法で働いたり、再訪を繰り返してきた人です。大学卒業後、テレビ制作会社に勤めたものの、やはり中国という国の... 2004.08.22 Book
Book 喜知次 乙川優三郎 香気あふれる小説です。自分の出生を知りながら、その宿命に抗うことなく健気に生きていく女性、花哉の一生を描いた作品です。上士の家にもらわれてきた女性と、その家の息子、弥平次との淡い恋を中心に話は展開していきます。藩は二つの派に分断され暗殺な... 2004.08.10 Book