破門

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もう立川談志に関わる文章は書かないはずだったのに、ちょっとした本を読んだはずみで再びまとめることになりました。
不徳のいたすところです。
噺家の世界は師匠に弟子入りし、前座、二つ目を経て真打ちにならなければなりません。
自己都合で廃業するケースもあります。最近も何人かいました。
しかし自分の意志に関係なく、師匠に破門を言い渡される場合もあります。
その時当人たちはどのような行動をとるのか。
それをまとめたのがこの本です。

主役は立川談志の弟子で今は名古屋の大須演芸場を中心に活躍している雷門獅篭です。
当時は立川志加吾と名乗っていました。志加吾はふとしたことから描き始めた漫画が週刊誌の連載になり、そのあたりから師匠との間に齟齬が生まれていったようです。談志は落語のことだけを考えるものしか弟子として認めません。
談志の気むずかしさには定評があります。
二つ目に昇進するための基準も人一倍厳しいのです。

彼と同じ価値観、美意識を持てない弟子には容赦なく厳しい処断を下します。
この時も4人まとめての破門でした。
それ以前には、立川流独特の上納金が納められずにやめていった弟子もいます。
立川國士舘は10年間前座修行をし、最後に五代目圓楽のところへ走り、現在は三遊亭全楽として活躍しています。

読後感は理不尽だなというものです。
師匠が黒だといえば、白いものでも黒になる世界とはいえ、あまりにもすごい。
この嵐の中で自分の噺の世界を完成させるのは大変なことです。
柳家権太楼は立川談志にひかれつつ、この人のところへいったら必ず最後は喧嘩になると予感し、弟子入りはやめたと『権太楼の大落語論』に書いています。

ちなみにこの本の著者、松垣透こそが先日紹介したあの越智多藁惠その人なのです。現在は夕刊フジの編集部にいるとか。
これは蛇足ですかね。

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