雲助と白酒

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落語
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最近、この師弟の落語を聞くことが多くなりました。
金原亭馬生に憧れて入門した雲助とその彼に私淑した白酒。
どちらもいい味を醸し出してます。
雲助師の方は、最近ますます圓朝作品その他の長講ものに熱を入れている様子。
一方、弟子の白酒師の方は滑稽な味わいの落し噺に、その本領を見いだして驀進中。

この師弟が一度に本を出したのですから、読まない訳にはいきません。
9月25日、白夜書房から同時に出版されました。
一言でいって面白かった。
古今亭の人の書いた本を読んだのは久しぶりです。

雲助師の本は、馬生に対する尊敬と感謝にあふれています。
そして自分がはじめて弟子をとった頃の様子がみごとに活写されています。
そこに重なるようにして、白酒の本では、はじめて師匠雲助の家を訪れる描写が出てきます。
ここは両方の本をあわせて読むと、実に面白い。

また二人とも落研出身というのもユニークです。
雲助師が明治。白酒が早稲田。
時代の差もあるのでしょうが、その気風がまるで違う。
座禅から始まる明治の合宿。
かたや、毎日がゆるい雰囲気の早稲田の落研。
これだけ内容が違うというのも、実に愉快でした。

いつも飄々としている白酒師ですが、雲助の落語に対する畏敬の念がいかに強いものかということが、とてもよくわかりました。
ここまで思われれば、師匠も嬉しいに違いありません。
それぞれが自分の噺をつくるまでの苦心を語ってくれています。
これは実際に高座にあがる身としては、大変にありがたい記述でした。

いずれにしろ、本当に落語が好きで好きで仕方がないということだけは、痛いほど伝わってきます。
噺を自分なりのものして咀嚼していくまでの道のりが、いかに大変かということもよくわかりました。
ご両人は現在65才と45才。師匠と弟子のこれからをずっと見守り続けたいと思います。
古今亭の魅力をじっくりと味わいたい人にとっては、最適の本ではないでしょうか。

「成り下がる」ことをいつも自分の目標にしている雲助師の人柄の一端に触れることもできます。
芸人の一生は誠に罪深いものだといえるかもしれません。

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