道灌

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落語
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これは柳家一門が最初に稽古をする噺として有名です。
誰もが先輩や師匠から教わるのです。
俗に「根問いもの」と呼びます。
前座噺とされていますが、やってみると、これほど厄介なものはありません。

どこからでも入れて、切れるので、時間の制限がある時などは実に具合がいいのです。
先代の小さんなどは40分くらいかけてたっぷりとやる時もありました。
しかし短いバージョンだと10分で終わらせることもできます。

内容はどうということもありません。
太田道灌が狩りにでかけた時の様子が、隠居と八五郎との掛け合いによって繰り広げられます。
七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき
この歌を中心として、歌道の道を説くという設定です。

これをトリでやるのが、一つの理想だという噺家もいます。
大きな笑いをとることはありませんが、なんともいえない落語らしい情緒のあるネタです。
主要な登場人物がわずかで、会話だけが主体の噺なので、基本を学ぶにはもってこいなのでしょう。
書道でいうところの永字八法に似ています。

覚え立ての前座がやっても、少しも面白くありません。
しかし間を十分に心得た噺家が挑むと、実に楽しい。
これほどに味わいが違うものかと愕然とします。
ぼくもいつか、どこかでやってみたいものです。

お客を飽きさせないだけの力がなければ、実につまらない落語です。
噺家にとって、実力を計るリトマス試験紙のような存在なのかもしれません。

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