落語キッチンへようこそ…

スポンサーリンク
落語
Photo by uka0310
スポンサーリンク

柳家さん喬の本を読みました。
タイトルは『噺家の卵煮ても焼いても』。
不思議な題です。
なんとなくマクラをずっと聞かされているような味わいかな。

師匠小さんのところへ入門してから50年が経つとか。
まことに月日の過ぎるのははやいもんです。
なんとなく勉強がいやになって、将来は噺家になりたいと思ったあたりから綴られています。
実家の洋食屋さんに食事によく来ていた人が、小さんと親しい仲でした。

人生はこういう縁で結ばれているんだ。
初日から小稲という高座名をもらって、どれほど嬉しかったことか。
おかみさんが名前をつけておやりよ、と師匠に進言してくれました。
その後、数々のしくじり。

師匠と一緒にでかけた旅の思い出。
自分の弟子11人の人となり。
一人一人が目に浮かぶように綴られています。
アメリカ・バーモント州ミドルベリーでの日本語教室の様子。
そこでの落語の授業風景。
ついでに沖縄やパリでの活躍ぶりも…。

一番印象に残ったのは、師匠小さんの最後の高座です。
笠碁をやって終わりかと思った時、急に碁泥に入ってしまいます。
どこで幕を下ろしたらいいのか。
楽屋全体に緊張が走ります。

噺の中で小さんがパチリと碁石を打った瞬間、さん喬は急いで幕を下ろしたそうです。
あとで師匠は「さん喬、ありがとうな」と呟いたとか。
これが小さんの現役最後の高座でした。

師弟の関係がよく出ているいい本です。
心があたたかくなる。
いつかまた読み返してみます。

@おすすめ関連記事
落語
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク