べけんや

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落語
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昨日、小満ん師匠の「中村仲蔵」を見ました。
TBSの落語研究会です。
斧定九郎が出てくる五段目の描写が、実に詳しくて舌を巻いたね。
ただ噺を覚えただけじゃ、ああはいきません。
小満んという師匠は噺家仲間からの評価がとても高いと聞きます。

俺は俺はというところがありません。実に粋な噺家です。
時そばなんかも、さらりとやって高座をおりる。
その恰好が実にいい。
やっぱり師匠文楽の味に似てます。

どうしても読み返したくなって、今日また本棚から引っ張り出しました。いい本です。
少しもうるさくない。

本当に心の底から師匠に憧れ、惚れて弟子になりました。それまで農工大にいたというのですから、これも変わり種だ。
文楽を愛する気持ちが実によく出ている本です。
『べけんや』は文楽師匠の書いた『あばらかべっそん』裏面史の要素を持っています。
師匠は律儀な人だった。これを楷書の芸というのでしょうか。
そんな単純な言葉で表現できるとも思えません。
いくつの噺を稽古したのか。
300はあったとか。
しかし実際に高座にかけたのは30です。
富士の山も広い裾野がなければ、高くはならない。いい言葉です。

文楽用語はいろいろあれど、「あばらかべっそん」「あんだらそんじゃ」「ぜねぞろぜっぷ」。
極めつけは「べけんや」ですかね。
小満ん師匠は真打の口上を文楽師にしてもらうことができませんでした。
だから「夢の口上」は泣かせます。

一切れの刺身を掌にのせてくれ、お食べと言います。
「おいしいと思ったら、それが芸だよ」
これもいい。
「うれしいと思ったら、それが芸だよ」
この名言を噛みしめたいと思います。

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