5月に出たばかりの本です。
長井好弘編とあるところをみると、ひたすら師匠は語ったのでしょう。
それをまとめてもらった。
読売新聞に連載したものを加筆したとか。
楽しい本です。
本音だけが書かれています。
権太楼と言う人の心根が透けてみえる。
芸に対する執念は人一倍です。
見習いに入ってすぐマスコミで重宝に使われ、それでも落語を絶対に捨てなかった。
いつか売れるためにやってると思ってはいたものの、焦りもあったようです。
師匠つばめが死んで、小さんに引き取られた時が一番苦しかったそうな。
自分のアイデンティティを見失ったということか。
それでも小さんは外様の権太楼にやさしかったそうです。
稽古もしてくれました。
旅の仕事にもつれていってくれた。
近くの寿司屋が一番の稽古場だったと述懐しています。
得意ネタの極意を書き込んでくれました
奥様ののろけもかわいい。
父と母への思慕の深さ。
小朝に抜かれて、その後化けた時の心理状態もみごとに分析してます。
負けてよかったのかもしれません。
病気もしました。
70歳を超えました。
笠碁が大好きで、鉄板ネタは不動坊。
代書屋と幽霊の辻がやりたくて、とにかく噺が好きで好きで…。
年に何回高座をつとめていることか。
いつまでも元気で頑張ってもらいたいです。
権太楼節を聞かせ続けてほしい。
たまにはしんみりと「たちきり」でも…。
柳家の芸風にどこまでもこだわりを持って…。
さん喬ともいいライバル関係で…。
今の望みはそれだけです。