今やかなりの噺家さんが自分のブログやホームページを持つ時代になりました。
勿論、その中には最近つくったばかりの人もいます。
それを読んでいると、噺家という稼業の苦悩や不安が透き通って見えてきます。
時に読んでいるこっちの方が、苦しくなったりもします。
でも全部が全部そうだというわけじゃありません。
暢気な記事もたくさんある。だから安心して読んでいられるのです。
ぼくの好きな噺家さんのブログは4つか5つです。
その全てをここに書く訳にはいきませんけれど、古今亭志ん輔さんのは毎日読んでます。
以前のものは、本にもなりました。
タイトルは『師匠は針、弟子は糸』です。
志ん朝師匠のことをたくさん書き込んでいます。それと間に挟み込んだ日記ね。
彼のホームページからの引用です。
ほんとに丹念に毎日の様子を書き込んでいて、頭が下がります。
稽古の様子もよくわかる。
カラオケ店に入って、稽古をしている師匠の様子が目に浮かびます。
さて今日はまだ始めたばかりの桂宮治さんのホームページについての話です。
このHPの中にあるブログはまだ本当に始まったばかりです。
しかしそこに書かれている内容は、重いものです。
ある意味でこれは芸人が抱えている根源的な不安かもしれません。
いや、芸人ばかりじゃありません。サラリーマンにも全く同じことがいえます。
特に今は先の見えない時代ですから。
しかしそれよりもここに示されたことは、もっと根が深いような気もします。
今の自分の実力以上に仕事の依頼があったりする現実にとまどっている様子がよくわかります。
NHKの新人演芸大賞をとったということはそれだけすごいことなのです。
そしてものを売るということもなく、ただ噺をすることで生活をしていけるのかという問いも重いです。
そんなことは芸人なら誰でも感じることだと言われれば、それまでのことかもしれません。
誰もが通る道なのでしょう。
胸をはって前を向いているうちに、不安の方がよけていくに違いないのです。
またそうでなくては、やっていけません。
つねにスケジュールの余白を気にしているようでは、芸も縮んでしまうというものです。
そういう意味で精一杯頑張って欲しい。
もう少し、彼のブログを注視していきたいと思います。