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アフターダーク 村上春樹 

たった一日の夜から明け方までに都会では何が起こっているのでしょうか。それを寓話的に描いたのがこの作品です。 幾つかの構成部分からできています。しかし眠り続ける姉のシナリオは理解できませんでした。 最新作のわりには、あまり彼の深さを感じられな...
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変容 伊藤整 岩波書店 

大学時代、この作家を集中的に読んだ時期があります。小林秀雄と、伊藤整のゼミをとったからです。『発掘』『氾濫』『変容』は彼の後期を代表する三部作です。その他に『年々の花』という作品があります。 この作家のものはほぼ10年おきに読み返しています...
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源氏物語の世界 日向一雅 

この本は、源氏物語の入門書として最適な本です。岩波新書の中では秋山虔さんの本が長い間、親しまれていましたが、今後はこの本がその地位を占めるものと思われます。 筆者は今年教育実習で来た生徒の主任教官で、本当ならば研究授業の時、見えるはずでした...
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野中広務 差別と権力 魚住昭 

以前から読みたいと思っていた本です。朝日新聞の書評に取り上げられた時、これだと感じました。それは野中広務という政治家が部落民という偏見と差別の最も強い階級からのし上がってきた人だという事実を元にして書かれていたからです。 京都府船井郡園部町...
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こころ熱く無骨でうざったい中国 麻生晴一郎

実に面白い本でした。読んでいる最中、思わず、そうだその通りだと手を叩いている自分がいました。 著者は学生時代から中国へ何度もでかけ、非合法で働いたり、再訪を繰り返してきた人です。 大学卒業後、テレビ制作会社に勤めたものの、やはり中国という国...
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喜知次 乙川優三郎 

香気あふれる小説です。自分の出生を知りながら、その宿命に抗うことなく健気に生きていく女性、花哉の一生を描いた作品です。 上士の家にもらわれてきた女性と、その家の息子、弥平次との淡い恋を中心に話は展開していきます。 藩は二つの派に分断され暗殺...
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臨場 横山秀夫

著者の本を読むのはこれで3作目になります。今回のものが一番感情移入できました。この作品はオムニパス小説の形をとっています。 唯一同じ登場人物は検死官の倉石という男です。ぷっきらぼうで誰にも媚びず、職務にはことの他に厳しい側面を持っています。...
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生きること演じること 神山典士 

副題に演劇人たちの人生、その光と影とあります。この本は小劇場系の俳優、演出家として知られる、古田新太、横内謙介、渡辺えり子などをはじめとして、いわゆる正統派新劇人 橋爪功、緒形拳、大竹しのぶ、市村正親までを網羅した、本当に切れ味のいい評論で...
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淳之介の背中 吉行文枝 

つい先日出版されたばかりの本です。発行元が有限会社港の人とあります。はじめて聞く名前です。 ここに描かれているのは、吉行淳之介と夫人文枝さんとの結婚生活の様子です。といっても彼は、途中から女優宮城まり子のところへ突然行ってしまいました。その...
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柳家小さん芸談 川戸貞吉 

五代目柳家小さんの芸談を集めた本です。小さんは昭和の名人と呼ばれた噺家の中で、最後まで生きて、その味わいを多くの人の記憶に刻んだ人です。 独特の風貌で落とし噺を得意としたのです。圓生の人情噺でもなく、文楽、志ん生の芸とも違う、彼独自のもので...
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アジア熱 中上紀 太田出版 

中上紀の作品を読んだのは初めてです。しかしこの人の中に宿った血を何度も感じました。 父親は中上健次です。そのことを誰よりも深く感じているのは、やはり彼女自身でしょう。この作品はアジアについて書かれたものです。 著者が自分の足で歩いたアジアの...
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日本語の… 鶴見俊輔他 

正式な本のタイトルは『日本語の新しい方向へ』というものです。 熊本子供の本の研究会20周年記念に、詩人の大岡信、谷川俊太郎、覚和歌子、評論家、鶴見俊輔などを招いて行ったシンポジウムをそのまま、収録した本です。6時間半にわたる長い催しにもかか...
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